このコロナ禍では、家づくりどころではないかもしれない。
5月の新設住宅着工戸数は、前年同月比12.3%減の6万3682戸と、11カ月連続で減少している。
なかでも、注文住宅などの持ち家は、20.7%減と落ち込みが激しくなっている。
住宅が不要不急かどうかは、それぞれの家庭環境によると思うが、まずは、先行きの収入の状態がどうかが不安要素となる。
また、働き方も大きく変わる可能性がある。
在宅勤務が主流になれば、住む場所の制限がなくなるので、何も高い都心に居を構える必要はない。
このように、収入の面、住む場所の問題など、今は変革期であるため、なかなか大きな買い物の決断はしにくい局面だと思う。
家を買う(つくる)目的
家を買う(つくる)理由は、人それぞれあると思う。
購入か賃貸かどちらが得かという議論は、様々なところで展開されているが、これは完全に個人の嗜好の問題であり、総体的な答えがでるものではない。
家賃と住宅ローン、どちらが得かなどと単純化できるものではないのだ。
まずもって、何をもって比較できるのだろうか。
立地も仕様も全く同じ物件など存在しないので、本来は比較すらできないものだ。
よって、家を買うか、借りるかというものは、主観の話になる。
この場所(立地)に住みたいと思えば、そこに建てるしかない。
こんな仕様や間取りの家に住みたいと思えば、自分仕様にカスタマイズしたオリジナルの家を建てるしかない。
立地にも、仕様にも、また間取りにも特にこだわりがないのであれば、賃貸でよいのかもしれない。
要は、それによって得られる満足度の違いなのであり、家をつくることが満足度につながるのであれば、買った方が正解となるのではないかと思う。
家は3回建てないと満足するものはできない?
では、家を建てることになったとして、次の心配事は、満足のいく家を建てることができるかというものだと思う。
よく、家は3回建てないと満足するものはできないと言われる。
これは、家づくりがいかに難しいかを表現したものだが、はたして本当にそうだろうか。
現実的に、ほとんどの人が、家を建てるのは生涯1度の経験となるので、こんなことを言われてはどうしようもなくなる。
私は、これは、業界の言い訳だと考えている。
そもそも家づくりは、クレーム産業なので、これくらい言っておかないとクレームだらけになってしまい対処できないのだ。
つまり、リスクヘッジだ。
しかし、難しいことには違いない。
注文住宅は、顧客の思いを具現化するものなので、その思いのところが曖昧でああったり、うまく共有できなければ、イメージと違うものが出来上がってしまう。
ですから、ここをうまく引き出すことが、住宅会社の腕の見せ所となるのだが、所詮は人が行うもの。
担当する人物の経験であったり、人柄であったり、多忙さなどによって影響されてしまう。
いくらその会社が大手であったとしても、担当する人次第で、出来が変わってしまうのだ。
担当者をどう見極めるか
良い家づくりをするには、担当する人次第となると、なにか運みたいになってしまい救いがない。
よって、担当者をどう見極めるかが重要になるのだが、これがまた悩ましい。
優秀な営業パースンは、優秀であるがゆえに、抱えている案件が多い。
注文住宅だと、年間で少なくとも6棟以上は手掛けているだろう。
こうなると、営業側からすると、いかに効率的にこなしていけるかがポイントとなる。
住宅営業は、報酬が歩合であることが多いので、数を増やさないと収入は増えないのだ。
では、あまり案件を抱えていない人なら、時間をかけて丁寧に接してくれるだろうか。
確かに、時間はかけてくれるだろうが、残念ながら案件がない人は、そもそもあまり優秀ではないということだ。
優秀でない人が、いかに時間をかけて取り組んでくれても、良いものができるか疑問だ。
このように、住宅の世界は、なかなか一筋縄ではいかないものなのだ。
利害関係の第三者
このまま終わってしまっては、救いがなくなってしまうので、何か解決策はないか考えてみたい。
担当者には過度な期待ができないとなると、ここはやはり、専門性をもつ第三者に入ってもらうしかないだろう。
こちらの思いや考えの代弁者、判断しなければならない時の助言者、価格交渉する際の代理人(エージェント)など。
住宅会社のペースにならないよう、こちら側も、レベルを上げなければならない。
住宅は、専門性が高く、金額も高額なので、なかなか素人では難しい面があるので、本来はそこをカバーする味方が必要になるはずなのだ。
しかし、残念ながら、今はこの機能を有するサービスがあまりないのが現状だ。
エージェントというものが、日本人には馴染まないのかとも思うのだが、スポーツ界などプロの世界は、エージェントは常識となっている。
そうすると、住宅も数千万円のお金が動く高額交渉になるので、本来はエージェントの果たす役割は大きいと思うのだが、どうだろうか。
この分野を、近い将来、切り開いてみたいと考えている。
早いところ、今の仕事を整理しなくては…。