7月1日より、日本全国でプラスチック製買物袋の有料化が始まる。
これにより、エコバッグの利用率が一層高まることが、予測される。
が、その一方で、アメリカでは、エコバッグの使用を禁止する動きがある。
カリフォルニア州では、2016年に施行された「プラスチックバッグ禁止法」が中断され、年間使用量が最大140億枚に上っていたプラスチック製レジ袋が、再び復活しようとしているのだ。
レジ袋をめぐり、国により真逆の施策を取ろうとしているのは、一体なぜなのだろうか。
コロナウイルス対策
アメリカで、エコバッグの使用を禁止したのは、スーパーマーケットで働く「エッセンシャルワーカー」をウイルスから守るためのようだ。
多くの研究結果により、プラスチックやステンレスといった硬い素材の表面に、最高72時間、ウイルスが残っている可能性があるとされたからだ。(厚紙は24時間)
つまり、マイバッグの持ち込みにより、店内でウイルス感染し、ウイルスを店外へ持ち出してしまう可能性があるということだ。
使いまわしのマイバッグは、どこかでウイルスが付着している可能性があるので、それを持ち歩くのはリスクがある。
そうであれば、使い捨てのレジ袋の方が、環境の問題はあるものの、コロナウイルス対策としては安全だということになる。
ちなみに、我が家でも、買い物をしてから、除菌対策として家で3日放置しており、宅配便(段ボール)は、宅配ボックスに1日置いてから、回収するようにしている。
買い物をする間隔は、3~4日に1回程度なので、一応、エコバッグに菌は付着していない前提となっている。
日本の対策は大丈夫なのか
日本では、アメリカの対策と逆行して、レジ袋を有料化して、エコバッグを推奨しようとしている。
コロナ前であるならば、この施策も分からなくもないが、コロナ禍では、少々心もとない。
我が家自慢ではないが、そこまで気を使って、エコバッグを使用している人は少ないだろう。
そうなると、ひょっとすると、菌をばら撒くことになるかもしれない。
確かに、アメリカと比べると、日本はコロナを抑え込めており、感染者は100分の1以下なので、そこまでの対策は必要ないのかもしれない。
現に、日常生活を積極的に戻そうとしている段階で、いろいろな制約がなくなりつつある。
しかし、それはあくまで、3密回避などの対策を講じた上での日常であるはずだ。
第2波を警戒しなければいけない環境下では、できる対策は、可能な限り行うのが良いのではないかと思うのだが…。
プラごみのリサイクル率
プラスチック廃棄物が、環境に悪いことは分かる。
海洋プラスチック問題は、海の生態系に影響を及ぼし、結果的に人間にも害を及ぼすようになる。
では、そもそも、日本のプラスチック対策は、進んでいるのだろうか。
プラスチックの分別回収は、日本では当たり前になされているので、恐らく世界でもトップクラスに進んでいるのではないかと思われる。
問題は、分別回収された後、どのように処理されているかだ。
結果的に、日本のプラスチックのリサイクル率は84%なので、プラスチック対策は十分なされていると見えるのだが、実は、回収したプラスチックの7割以上が燃やされているようなのだ。
そんなのインチキじゃんと、思ってしまうのだが、これは「サーマルリサイクル」といって、プラスチックをごみ焼却炉で燃やし、その熱をエネルギーとして回収するというもの。
回収された熱は、火力発電や温水プールに利用される、つまり、ごみを用いた火力発電として再利用されているのだ。
まやかしは止めねばならぬが…
でも、これは流石に、リサイクルとは違うのではないだろうか。
リサイクルと熱回収は別物で、熱回収は、最終的に資源の消費(枯渇化)につながる。
また、燃やすのであれば、ごみをわざわざ分別する必要もないだろう。
このようなまやかしはいけないし、世界標準からもズレている。
こうなると、やはり、プラスチックの使用自体を減らすしかないということになる。
スターバックスやマクドナルドが、プラスチック製ストローやマドラーを廃止するように、再生可能なものに代替していくべきなのだろう。
しかし、ここでも、日本企業の動きは鈍い。
再生ペットボトル(通称rPET)にしてみても、日本の飲料メーカーが、これに切り替えようとしても、国内に供給できる企業がない有様だ。
今や、企業の経営戦略には、サステナビリティの視点が必要なのは明確なので、このままでは中長期的にみて、日本企業は衰退していくだろう。
このままでいいのか、日の丸日本。