コロナ禍で、住宅ローンの返済相談が急増しているようだ。
理由としては、緊急事態宣言などによる収入減となるのだが、そもそも無理な返済計画をしていたものが、多かった可能性が高い。
いわゆる、過剰ローンというやつだ。
ここ最近の傾向を見てみると、世帯主の年齢が29歳以下がかなり増えている。
返済期間を考えると、若い人ほど余裕のあるプランがたてられるのだが、問題はローンの組み立て方だ。
給料が右肩上がりになる前提条件だったり、ボーナス返済ありきだったりすると、ちょっとイレギュラーな展開になると、崩れやすい。
やはり、計画は慎重にたてる必要がある。
異次元の住宅ローン金利
また、原因の一旦は、住宅ローン金利にもある。
歴史的な低金利と言われ続けて、早や10年以上になる。
今では、0.5%を切っているものもある。
バブル期は、6%以上だったのが嘘のようだ。
これだけ低金利だと、借入額も多くなりがちだ。
例えば、3,000万円を、返済期間35年の元利均等、金利0.5%で借りるとすると、総返済額は、約3,270万円となる。(手数料などは含まず)
金利分は、35年でわずか270万円にすぎない。
これが、金利6%だとどうだろうか。
なな、なんと、7,180万円にもなるのだ。
こうも金利面で優遇されていると、ついつい多めに借りてしまう。
いや、借りれてしまうのだ。
しかし、これはあくまで金利の話であって、借りた分(元本)は当然返さなければならない。
よって借入額が多くなると、返済も大変になるのは必定だ。
バブル期であれば、給料は右肩上がりに上がっていたので、返済も何とかなったかと思うが、今の時代は、そう簡単には上がらない。
いや、むしろ、平均年収は、年々低下している有様だ。
なかなか厳しい現状である。
住宅ローン減税の甘い罠
そして、決定打は、住宅ローン減税だ。
金利分より、減税分の方が多いため、借りれば借りただけ得をしてしまう。
つまり、多く借りるほど得をするので、それならばと、多少無理をしても多く借りてしまうのだ。
不動産の営業マンであれば、必ずこれを営業トークとして使っている。
確かに、得をするのは間違いではない。
サラリーマンであれば、年末調整で何十万と戻ってくるので、家計にとってはありがたい話だ。
問題は、収入に見合わない多額のローンを組んでしまうということで、それが、まだ経済基盤の乏しい若年世帯に多く見られるということだ。
いくら、金利分で得をするといっても、収入減で返済が出来なくなってしまっては元も子もなくなる。
元々が、収支ギリギリの返済計画を組んでいると、こうなりやすい。
また、ボーナス返済をあてにした計画も、危うくなる。
独立系ファイナンシャルプランナーの活用
住宅ローンの低金利も、ローン減税も、家を購入する上では、この上ない有利なものだ。
肝心なのは、それをどう利用するか、綿密に計画する必要がある。
この計画自体を、不動産の営業マン任せにしてしまうと、杜撰なものになりやすい。
なぜなら、彼らは、不動産を売るのが仕事だからだ。
どうしても、不動産を売る方に、バイアスがかかる。
彼らを責めるわけにはいかないだろう。
彼らも生活がかかっているのだ。
不動産の営業は、歩合の割合が大きいので、売れないと彼らも生活ができない。
だから、ここは、自衛をするしかないのだ。
自分で出来る人は、問題ない。
不安を感じる人は、ファイナンシャルプランナーに相談されることをお勧めする。
独立系のFPならば、なんのバイアスもないので、客観的に、計画を組んでくれるはずだ。
不動産は、人生で最も大きな買い物となる。
それを、何のサポートもなしに決断するのは、無謀だ。
日本でも、ファイナンシャルプランナーを活用する文化が早く来ることを、期待してやまない。