東京を中心に、再び、コロナ感染者が増加してきている。
経済活動を優先することに決め、完全に緩和しているので、この状態は起こりべくして起こっているのだが、これに対して、想定外だとか言っている人たちがいるのはちゃんちゃらおかしい。
まさに茶番劇の典型だ。
そして、国と自治体の温度差も出始めている。
国は、経済優先の既定路線を推し進めるために、何が起ころうと我関せずで、開き直りの姿勢。
一方、都道府県等の自治体は、実際に対応していかなければならないので、そうはいかない。
このギャップが、今後ますます混乱を生みそうで心配なのだが、今回、それが「Go To Travelキャンペーン」の強硬実施という形で顕在化した。
「Go To Travelキャンペーン」で旅行に行く?
このキャンペーンは、少し前に企画されたが、当時は時期尚早だと叩かれたため延期された。
そこで今回、満を持して展開されることになったのだが、タイミングが悪いことに、東京での感染再拡大期と重なってしまったわけだ。
本質的に考えれば、感染拡大を助長しかねないこのような施策は、今発表すべきではないのだが、そこはさすがにお役所だ。
決まったことは実施しなければならないという、硬直化した思考回路なので、適切な状況判断がまるでできない。
利権団体とのズブズブの関係も、影響しているだろう。
では、実際にどれだけの人がこのキャンペーンを利用するのだろうか。
「Go To Travelキャンペーン」とは
このキャンペーンの対象期間は7/22~2021年(終了日未定)となっており、利用者が多ければ、早めに終了する可能性もある。
内容は以下の通り。
・国内旅行を対象に、日帰り・宿泊旅行代金の1/2相当額を支援 |
・支援額の内訳は、①7割は旅行代金の割引、②3割は旅行先で使える地域共通クーポンで付与 |
・1人1泊あたり2万円が上限(日帰り旅行は1万円が上限) |
・連泊制限や利用回数の制限なし |
このキャンペーンの予算は、約1.1兆円ということで、利用されればそれなりの経済効果はありそうだが、果たして国民の反応はどうだろうか。
誰が利用するか?
このコロナ禍で、かれこれ半年近く自粛しているので、旅行への欲求は相当高まっているので、ニーズはありそうなのは分かる。
意識調査をみても、このキャンペーンを利用したいという人が圧倒的に多い。
ここから、減点方式に考えてみると…。
まず、感染リスクを不安視する人は、当たり前の話だが、いくら補助があろうと、利用しないだろう。
あとは、現実的なところで、金銭面の問題がある。
コロナ禍で、多くの家庭の家計が痛んでいる。
そして、将来不安もあるので、いくら半額補助されても、この時期に出費できるのかというと切実な問題だ。
そうなると、経済的に余裕がある人しか対象にならないことになり、それは誰かというと、リタイア層であり、高齢者となる。
この層は一定程度動くと思われるが、こちらは、感染すると重症化リスクがあるので心配だ。
こう考えると、この時期にこのようなキャンペーンを行うのは、国の施策としては完全に誤りだということが分かる。
観光業界を支援するのは分かるが、これにより、高齢者の感染が拡大し、さらに重症化する人が増えてしまうと、いよいよ致命傷となってしまう。
今は、感染者が増加傾向にあるとはいえど、若者が中心で、ほとんどが軽症者であるので、大きな問題となっていないのであり、重症者が増えれば医療崩壊が起こり、再びロックダウンということになりかねない。
こんな愚策は、即刻中止すべきだと思うが、そんな議論はあまりなされていないようで、何かなし崩し的な感じで不安しかない。
これぞまさしく、日本の悪しき習慣だ。