現在、様々な業界でオンライン化が進んでいるが、住宅業界もその例外ではない。
今までは、モデルハウスやモデルルームにおいて、幻想の世界を演出する手法で需要を喚起してきたが、これからはそんなに単純にはいかなくなる。
注文住宅を建てようとすると、多くの人は、住宅展示場を訪れるだろう。
基本的に、モデルハウスは最高ランクの仕様でつくられているので、良いに決まっている。
しかし、どのハウスメーカーも同様に気合を入れてつくっているので、どれも良くて違いが分からない。
そこで、家づくりのコンセプトだったり、素材や設備面でのセールスポイントなどを、営業パーソンから聞いて判断することになるが、これもまた、みな良いことしか言わないので、違いが分からない。
そうなると、結局、決め手は営業パーソンの腕であったり、相性という属人的な要素となってしまう。
このように、住宅業界は、営業パーソンのウェイトが非常に高い。
そして、営業の報酬は歩合制のことが多く、1棟売れれば相応の金額が支払われる。
ということは、住宅価格には、この営業への高額な報酬も含まれているので、決して表面には出てこないが、割高になっていることは間違いない。
住宅に営業パーソンは必要か
モデルハウスで集客して、営業パーソンが売るという従来通りの販売手法であれば、営業は必要であろう。
しかし、オンライン化などで、販売の方法を変革していけば、必ずしもこれが必要なくなるはずだ。
というのも、会社側としても、営業パーソンに依存した販売は、好ましくないと思っている。
営業にも、売れる人、売れない人が当然存在する。
みんな均等に売れればよいのだが、残念ながらどちらかに偏ることが多い。
売れる人はどんどん売るし、売れない人は本当に全然売れない。
こうなると、売れる人に全面的に依存することになってしまうので、会社の経営としては不安定な状況となる。
この売れる人が、辞めてしまったら、たちまち住宅が売れなり、経営が傾いていまうのだ。
このように、前提として、会社は、営業に頼らない経営をしたいと思っているはずなので、このコロナ禍での様々な変化や改革は、本気で取り組むだろうし、これが軌道に乗れば元にもどることはないだろう。
だから、住宅営業に携わる人は、注意した方がよいと思う。
私は売れる営業だと自負している人は、危うい。
人格者であれば、会社も必要な人材だと判断すると思うが、増長していたりすると真っ先にリストラ候補となる。
もし、この業界で生きていきたいと考えているならば、至急、態度を改めた方がよいだろう。
手遅れになる前に。
徹底的な効率化で価格低減
今後の住宅業界の在り方としては、デジタル化によって無駄を省き、価格低減を図っていくことと思われる。
この際、価格的にネックになるのが、モデルハウスと営業パースンになる。
よって、この2つがなくても成り立つような販売手法を確立できてば、価格低減は可能になる。
まずは、モデルハウスがなければ販売できないという、固定観念を打破する必要がある。
注文住宅は、設計図通りにつくることになるので、何かを複製する訳ではない。
よって、モデルハウスがあっても、それがそのままつくられる訳ではないので、特段なくても問題ないのだ。
今は、グラフィックデザインも高精度で作成されるので、実際のイメージはそれで充分だろう。
いや、それでも、質感は現物を確認したい、というニーズもあると思うが、これは実際に建てたお客さんの家を見せてあげれば済む話だ。
このように、モデルハウスをなくすことができれば、建築費用や維持費が必要なくなり、その分、相当程度の原価低減が実現できるはずだ。
そして、その方が、顧客にとってもメリットが大きいので、実現可能な施策となるだろう。
住宅業界も、このコロナ禍で大きく変わる。
この変化にいち早く取り組んだところが、勝ち組となる。
ここは、徹底してやった方がよい。
私も、現職なら、とことんやる。
もう一度、復帰しようかな…。