株式投資の銘柄選びをする上で、重要なことは何であろうか。
どんな事業を行っていて、その業績がどうで、また将来性はどうか、というのが最も重要だと思うが、その会社の経営者の資質もチェックすべき項目であろう。
あまり露出度がない経営者の場合は、なかなか見極めが難しいが、それでも最近は、各社IRに力を入れてきているので、比較的判断しやすい環境になっている。
なかでも、オーナー経営者は露出度が高い。
大企業でいえば、日本電産の永守さん、ソフトバンクの孫さん、ファーストリテーリングの柳井さんあたりは、分かりやすい。
そこで今回は、ファーストリテイリングをみてみようと思う。
ファーストリテイリングの現況
ファーストリテイリングの今期業績(2020.8期)予想は、売上1兆9,900億円(前期比△13.1%)、最終益850億円(同△47.7%)と芳しくない。
コロナによる店舗休業の影響が大きく、利益は半減という状況だ。
株価は、8月7日終値59,030円。
3月19日につけた安値39,910円から巻き返し、6月10日に直近高値66,130円をつけたが、業績予想を下方修正した後、下げている状態だ。
日経平均株価にも大きな影響を与える人気株であるが、一般投資家には少々ハードルが高い。
株価が約6万円と高いため、買おうにもまとまったお金が必要となる。
単元枚数が100株なので、最低でも600万円必要だ。
これはなかなか手が出にくい。
任天堂と同様に、身近でありながら縁遠い株かもしれない。
PERは70倍と高く、数値だけ見ると成長株の扱いとなっている。
時価総額が6兆円なので、新興株とはいいがたいのだが、成長力を見ると頷けるものがある。
2019年度業績でみると、3年間で売上28%増、最終益は3.4倍に拡大している。
この成長力から判断すると、一概に割高とは言い難い。
よって、業績から判断すると、コロナの影響はあるものの、今後の事業拡大はまだまだ期待できると考えられる。
経営者 柳井正とは
業績は良しとした場合、あとは経営者の資質が判断材料となる。
柳井会長は、メディアへの露出度も高いので、その人となりの判断材料は比較的豊富だ。
従って、この方の考え方や方針に賛同できれば、投資すれば良いということになるのだが、私は好きではない。
その理由となる彼の言動をみてみよう。
まず、彼の人材(従業員)に対する考え方だが、以前にこのような発言をしている。
給料10万円の人を倍の20万円にするとその人はやる気を出してくれるでしょう。しかし、今までの労働に比べて2倍も働いてくれません。では、半額の給料5万円にするとどうでしょうか?今までの7割くらいの力で、どうにか働いてくれます。つまり数学的に考えて給料を半分にする方が儲かる。
これを聞いて、どう思うだろるか。
人材を、材料や道具としかみていないのが分かる。
日韓問題
ユニクロは、韓国や中国に大量出店しており、今では海外事業が国内を上回っている。
よって、冷え切った日韓問題の影響もかなり大きなものがあるので、その発言がある程度ビジネスよりになるのは分かるが、時代に逆行しているのは否めない。
日経ビジネス(2019年10月14日号)で、安倍政権を猛批判し、日本は最悪、韓国が半日になるのも分かると発言している。
つまり、韓国が半日なのは、日本が悪いと主張しているのだ。
これは、韓国でユニクロお売りたいがためのお追従なのか、彼のもともとの信念なのかは分からないが、いずれにしても、現在の日韓関係の実情を捻じ曲げている。
既に、国も国民も十分理解し、韓国に対して強い姿勢で臨んでいる状況なので、以前のような主張は全く受け入れられない。
この情勢を理解できず、以前のような発信をしているようでは、経営者としての判断能力が欠如していると思われても仕方がないだろう。
コロナウイルスへの対処
最後は、直近の発言(8月8日付毎日新聞朝刊)。
コロナウイルスについて、「経済はどんどん回していかなければいけないので、まずは全国民を検査して隔離が必要な人は隔離し、もう一度仕切り直しをすべきだ。各国に比べると、まだまだ検査が少なすぎる。検査薬はいくらでもあるはずで、なぜやらないのか理解できない。」としている。
PCR検査については、様々な議論があると思うが、全員検査する意味がどこにあるのか分からない。
例え検査で陰性と判断されても、翌日に感染してしまうこともある。
また、そもそもPCR検査の感度は70%前後なので、仮に陰性と判断されても完全に陰性とは言い難い。
これは意味あるのか?
更に、隔離すべき人が大量に発生した場合、どこに隔離しようというのか。
言うだけなら誰でも言えるが、日本を代表する企業経営者の発言としてはあまりにお粗末だ。
さらに、コロナを封じ込めたとして中国を絶賛している。
いやちょっと待て。
これは、そもそも中国で発生したウイルスだ。
それを、全世界に拡散させて、2,000万人もの感染者を発生させている。
2,000万人だよ。
そして、経済にも深刻な影響を与え、それに苦しむ人は数えきれない。
それを、封じ込めたと絶賛するのはどういう了見だろうか。
そして、挙句に果てに、ワクチンや治療薬の開発を、中国や韓国と協力しろと言っている。
もうここまでくると、開いた口が塞がらない。
中国に取り込まれているか、アホなのかどちらかだろう。
経営者目線は禁句
そして、新聞のインタビューをこう締めくくっている。
「経営は経営者がするものではなくて、社員がすべきだ。現場で接客する人が経営者のつもりで仕事をするのと、単純に労働者のつもりで仕事をするのでは全然違う。お客様に最良のものを提供しようという経営者の心を持って仕事をしてほしい。」
一見、尤もらしいことを言っているように聞こえるが、これは最悪の暴言だ。
経営は経営者が行うもので、その責任を従業員に転嫁している。
よく、経営者目線で仕事をしろという人がいるが、こういう人を私は信用しない。
従業員は、経営者ではないので、その目線で行うことなど出来ないし、する必要がない。
そもそも、そんな権限や、報酬を与えらていないではないか。
そんな都合の良いことを、従業員に要求している時点で、アウトだ。
この一点だけでも、信用ならない人物だと分かる。
よって、結論は、ファーストリテイリングには投資しないということになる。
人の好き嫌いはそれぞれなので、そこはご容赦を。