コロナ禍で、不動産市場も大きく停滞しているようだ。
不動産経済研究所によると、5月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンションの発売戸数は前年同月比82.2%減の393戸。
単月の発売戸数で過去最少を更新したようだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、モデルルームが営業を自粛したことによる影響が大きいのだが、発売戸数の前年割れは9カ月連続。
つまり、もともと不動産市況は減速傾向だったものが、コロナが止めを刺した形だ。
マンション価格も、かなり高いところで高止まりしていたので、ここで調整してくれるとよいのだが、どうだろうか。
不動産会社も、コロナ禍に対応して、収納スペースをワークスペースに変更できるプランをつくるなど、需要喚起に必死になっているので、すぐに値崩れすることはないのかもしれない。
不動産価格は需要と供給で決まる
マンションなど不動産の価格は、基本的には需要と供給で決まる。
コロナ禍での先行き不安から、需要である買い手は、買い渋りをしている状況だ。
一方で、供給サイドである売り手はどうかといえば、上に記したように、新たな生活様式に対応したプランをつくるなど、大きな変化はしておらず、いわば売り渋り状態だ。
こうなると、売りも買いも大きな変化はなく、売り買い拮抗状態になり、当面は全体的に様子見状態となるであろう。
しかし、いずれは、どちらかに動くことになる。
おそらく、都心の不動産価格はゆるやかに低下していくのではないだろうか。
新常態の影響はメガトン級
コロナ後の生活スタイル、新常態は不動産市況にどのような影響を与えるだろうか。
最も大きな変化は、テレワークの拡大であろう。
テレワークが新常態になると、住む場所に縛られることがなくなる。
たとえ会社が東京にあっても、北海道に住むことも可能になるのだ。
そうなると、なにも価格が高騰している東京に居を構える必然性は全くない。
だから、都心の不動産価格は下がるだろうと、上に記した。
新常態による地方創生
これからは、住む場所は、多様化していくであろう。
海が好きな人は、海の近くに。
山が好きな人は、山の近くにといった感じで、自分のライフスタイルに合った場所を選択するようになる。
これにより、過疎が進んでいる地方も、再生する可能性がある。
社会問題になっている空き家の活用も、可能になるだろう。
もちろん、地方の自助努力も必要になるだろが、活性化していくことは間違いない。
コロナ禍で、大変な思いをされている人も多いと思うが、結果的に、地方創生に役立つ形になるならば、少しは報われることになるのではないだろうか。
まずは企業の変革から
このような世界にするには、まずは、企業が働く環境を変えていかないといけない。
新常態にすべきところを、ただ元に戻すだけの対応に終始してしまえば、何も変わらない。
このコロナ禍で、働き手は、テレワークの快適性を知ってしまった。
そして、満員電車に疲弊することなく、時間を有効活用して、生産性を上げられることも確認できてしまった。
そして、多くに人が、テレワークを継続したいと願っている。
この現実を、企業は受け入れることが出来るかどうか。
カルビーなどの先進的な企業は、いち早くテレワークの原則化に踏み切った。
さらに、これにともない単身赴任も廃止する方向だ。
こういった会社は、従業員にも支持されるし、顧客にも支持されるだろう。
ステークホルダーに支持された会社は、今後、発展していく可能性が高まる。
逆に、何も変われない会社は、今後、衰退していく可能性が高まるのだが、果たして、このロジックに気づくことができるだろうか。
テレワークの推進は、会社の発展につながり、更には、地方創生を実現する。
この活動は、ぜひとも、国をあげて推進してもらいたい。
国民の幸せ、そして国の発展のために。