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官民連合による『残価設定ローン』は眉唾物!

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コロナ禍で、住宅ローンの支払いに苦しんでいる人が増えているようだ。

その理由の一つが在宅勤務で、在宅勤務が増えると残業代が激減するという問題が沸き上がっているのだ。

 

在宅勤務は、通勤に費やす時間の節約や満員電車の回避、また職場の様々なストレス(上司と顔を合わす機会が減る等)を軽減するメリットがあり、多数の人が継続を願ってやまない制度であるのだが、一方で、残業減により収入が減少するという切実な問題も抱えている。

これは、時間外の勤務時間を管理する仕組みがないというものなので、在宅勤務が恒常化していけば、いずれは何らかの手法で管理され解決されていくとは思うが、今現在ではその仕組みがない企業が多い。

 

残業代というものは、そもそも生活費として当てにできるものではないのだが、毎月恒常的に残業は発生しており、その分の残業代が給与に加算されることから、自然と残業代込みで生活設計するケースが多い。

こうなると、住宅ローンを組む際も、残業代ありきの収入総額で検討してしまうことになり、今回のような急激な環境変化が起こると、たちまち生活に窮することになってしまう。

 

また、もう一つ気がかりなのは、ボーナス払いを併用しているケースだ。

これもコロナ禍で、ボーナスを減額されたり、最悪の場合はANAのように全額カットされてしまうこともある。

 

こうなると、ボーナス払いが出来なくなり、こちらも、たちまち返済に行き詰まることになってしまう。

預貯金があれば、それを取り崩して返済にあてることもできるが、住宅ローンを抱えている世帯は、総じて預貯金が乏しいこともあり、そうなると、返済期間を延ばすか、毎月の返済額を減らす交渉を、銀行と行わざるを得ない。

 

しかし、これを行うと、ローン負担が増えてしまうので、結果的に総返済額が増え、家計に打撃を与えてしまう。

また、返済を減らして乗り切れればよいが、それでも返済ができないとなると、最悪の場合、住宅を手放すことになってしまう。

 

このように、経済環境の変化により、一旦雲行きが怪しくなると、無理な返済計画を立てていると、たちまち窮してしまうことになる。

そうならないように、当初の返済計画は、しっかりと立てなければならない。

 

この際は、決して、住宅の営業マンと相談してはいけない。

営業マンは、家を売ることが仕事なので、なんとかして、あの手この手でもっともらしい提案をして、購入することを勧めてくる。

 

こういう場合は、セカンドオピニオン、すなわち第3者的な存在となり得る人に相談した方がよい。

日本では、ファイナンシャルプランナー(FP)の存在は、まだ一般的とは成り得ていないが、住宅に強い独立系のFPに相談されることをお勧めしたい。

 

 

残価設定ローン登場?

 

さて、このような環境下、毎月の返済負担を軽くする新たな住宅ローンの開発に官民が乗り出しているようだ。

国土交通省は、住宅購入時の借入額と将来的な住宅価値の差額のみを返済する「残価設定型」のローンの普及に向け、2021年度にも民間の金融機関が参加するモデル事業を始めるとしている。

 

残価設定型ローンとは、最近では自動車の購入方法としてよく見られるようになってきたが、借入額と将来の住宅価値の差額のみを返す仕組みだ。

すなわち、将来の残価をあらかじめ設定し、住宅価格から差し引いた額を分割して返済するというもので、ローンが満期を迎えた際の選択肢は以下の3つとなる。

①残価で住宅を買い取る

②再度ローンを組む

③家を売却する

 

 

この制度をどう評価するかだが、ローン返済負担が軽くなるので、住宅ローンを組める対象者が増えたり、より高額な住宅を購入できるようになり、一見メリットがありそうに見えるが、これは将来に禍根を残す非常に危険な制度だと思わざるを得ない。

住宅を保有するという目的は、本質的には、将来に渡って住む場所を確保するというものだと思うが、20年後に追い出される前提となると、問題を将来に先送りしているだけの、はなはだ不安定なものと言わざるを得ない。

 

確かに、将来設計をしっかりと立てている人、例えば、子育て期間だけ住宅を保有し、子離れした時には海外に移住するなどの計画をしている人であれば、この制度を利用する価値はあるかもしれない。

日本の中古市場は未発展なため、将来、確実に持ち家を売却できる保証がないので、購入時に負担額を確定させられるのは、将来設計をする上で大きなメリットとなる。

 

しかし、いかにライフプランが多様化しているとはいえ、このような人は稀であろう。

多くは、ギリギリの生活のなか、この制度を利用することになり、結果20年後に重大な選択を迫られることになってしまうだろう。

 

 

そもそも、この制度を官民で開発するというところに、欺瞞がある。

官が携わっていれば、国民としては安心感を抱いてしまうので、質が悪い。

 

国は、依然として、新築住宅を増やしたいという基本施策をとっている。

なぜなら、新築は、経済波及効果が高いからだ。

 

だから、新築を増やそうとする施策ばかりを実行しているのだ。

中古市場の活性化も、かれこれ10年前から行われてはいるが、こちらはあくまで建て前なので、遅々として進まないのは当然だ。

 

このような新築偏重の基本施策をとっているので、今回の残価設定型ローンの開発も、この一環にすぎない。

これに乗せられて、国が携わっているのだから安心だと、勘違いして利用してしまうと、20年後に悲惨な目にあいかねない。

 

このようなものには、決して安易に飛びつかないように注意してほしい。

問題の先送りは、いずれ必ず綻びが出てしまうので、そうならないように、しっかりと生活設計をしていきたい。

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