株式投資は奥深い、というか複雑だ。
業績が良いからといって、必ずしも株価が上昇するわけでもなく、逆に、業績が悪くても下がるわけでもない。
今は決算発表シーズンで、今日でおおよそピークを迎えるのだが、この決算発表を受けて株価が大きく動く。
このような経済環境下なので、ほとんどの企業の業績が芳しくないのだが、昨日に日経平均株価は、405円も上昇(1.78%増)。
23,000円台を回復している。
足元が悪いのは、既に株価に織り込んでいるのは分かる。
しかし、6か月先、果たしてそれほど期待できるかどうか分からない。
既に、ほぼほぼコロナ前の株価水準に回復しているのだ。
これだけコロナで壊滅的なダメージを受けており、回復するのに1~2年はかかると言われている中、株価だけはかなり先行してしまっている。
まあ、上がってくれるのに越したことはないので、それはそれで良いのだが、一抹の不安を感じる。
エーアイ
次は、個別株を見てみよう。
エーアイ(4388 マザーズ)は、音声合成エンジン「AITalk」を開発・販売する新興企業で、個人的に期待しているのだが、11日に発表した決算も好内容であった。
以下、株探から引用。
・21年3月期上期(4-9月)の経常利益を従来予想の4600万円→9700万円に2.1倍上方修正 ・従来の27.0%減益予想から一転して54.0%増益見通し ・巣ごもり需要で個人向け音声合成パッケージの販売が好調なうえ、テレワークやオンライン学習の普及、防災・放送分野の活用拡大を背景に法人向けの販売も伸びる |
この決算内容を見て、俄然、12日の株価上昇を期待した。
結果は、始値2,594円と前日比104円高で始まり、その後2,638円まで上昇し、これはいけるぞと思ったのもつかの間、そこから2,351円まで急降下し、最終的に2,388円で引けた。
前日比△102円、4.1%もの下落だ。
いやいや、おかしいでしょ。
好決算で4.1%も下げるなんて、間違っている。
まあ、こう思いたくもなるのだが、現実の株価だけが正しいわけで、これを受け入れ対策を講じるほかない。
ではこの対策を講じるためには、原因を探ることになるのだが、常に株価が正とするならば、原因は後付けにすぎないので、どこまで意味があるかということになるのだが、投資家としては要所要所で判断しなければならないので、仮説であっても原因を考え、対処していかなければならない。
まずエーアイの株価推移を見てみると、他企業と同じようにコロナショックで、3月23日に889円の安値を付けている。
その後は、若干の下げはあったものの、ほぼ一本調子で上昇し、7月9日に2,681円の高値を付けた。
889円からは、3倍もの上昇となる。
よって、ここで一つ考えられるのは、先行き期待から3倍まで買われてきたものの、今回の決算がインパクトに欠けるものであったということ。
つまり、ある程度の好決算は既に織り込み済みで、ここから更に上昇するには、その期待を上回るサプライズ的要素が必要というわけだ。
あとは、7月9日の直近高値2,681円を超えられなかったというのもある。
この高値とか安値とかいうものは、単なる数値ではなく、心理的側面があるので、案外と馬関に出来ない。
今回は、2,638円まで一気に上昇し、高値更新まで43円まで迫ったのだが、残念ながら超えられず、失望感から値が崩れたというのもあるだろう。
高値ブレイク戦法というものもあるくらいなので、この節目となる高値や安値は気を付けていきたい。
では、この後の戦略をどうするか。
シナリオは二つ。
一つ目は、高値を更新できなかった反動で、しばらく下値を探る冴えない展開。
もう一つは、一旦は一時的に下げたものの、成長期待から再び上昇する展開。
あとは、その銘柄の魅力次第となる。
私は、その魅力に賭けたいと思うので、再度上昇していくと読んだ。
結果やいかに…。
ちなみに、本日は、寄付きで2,301円まで下がってしまっている。
売り方はまだ勢いがあるようだが、反転して終われるよう願う。
イグニス
あと簡単に、イグニスの株価推移も見てみよう。
イグニス(3689 マザーズ)は、恋愛・婚活マッチングサービス「with」を展開する新興企業で、こちらも注目していたのだが、エーアイとは逆の展開となっている。
8月7日に発表した、2020年9月期第3四半期決算は、最終損益はが5億9800万円の赤字(前年同期は3億5800万円の赤字)で、赤字幅が拡大している。
では株価の方はどうかというと、この決算を受け、11日こそ222円安(△10.1%)の1,977円と沈んだが、翌日から反発。
12日と13日は、それぞれ10%弱の脅威の上げを見せ、13日の終値は2,379、ザラ場では2,449円まで上昇する場面もあった。
この上昇の要因としては、業績こそ悪かったが、主力の恋愛・婚活マッチング事業が順調に成長していることが確認されたことがあると思う。
この例が、業績が悪化しても株価が上がるというものだが、なかなかもって難しい。
決算は、表面的な業績の数値のみで判断するのではなく、その中身を確認することが重要ということだ。
一時的に業績が悪化しても、将来的な飛躍を期待できる何かがあれば、株というものは上がる可能性がある。
このあたりが、株の難しさであり、醍醐味でもあるところだろう。
まさに、研究のし甲斐があるというものだ。
銘柄研究、頑張っていこう!