昨日のマーケットには、肝を冷やした。
欧州市場が4%前後の強烈な下げを喰らい、NYダウも大撃沈の予感がしていたが、一時は900ドル超の下げとなったものの、終値は△1.84%(△509)に収まり、最悪な事態は回避された。
理由は様々ある。
欧州で、コロナ第2波の発生により再びロックダウンになるとの懸念や、大手銀行によるマネーロンダリング疑惑、米国の最高裁判事問題、そして、中国の外国企業取引制限の法律などなど。
日本株は、これに加え、104円台となった円高による収益圧迫懸念。
つくづく、4連休であって良かったと思う瞬間だ。
日本株が、まだ今日1日余裕があるので、反発してくれることを祈るばかりだ。
今のところ、為替も香港ハンセン市場も大きな変化はないようだが、どうだろうか。
中国リスクが最大の懸念
さて、世界にはコロナウイルスを初めとして様々なリスクが存在するが、中でも中国リスクが最大の懸念となっている。
TikTokやWeChat問題は現在進行形だが、中国に進出している企業が、今後どのように対処していくのかは、大きな国際問題であるのと同時に、各企業にとっては最大の経営問題となる。
米国が、本気で中国を叩きにきている以上、同盟国であり自由主義陣営である日本としては、思想はそれぞれあるにせよ、歩調を合わせざるを得ない。
また、中国で生産している企業は、中国政府がイスラム教徒のウイグル族など少数民族に弾圧を与えており、強制労働によって商品が供給されていることに、どう向き合うことができるだろうか。
そして、現に日本企業の中国からの撤退が始まっている。
日本経済新聞によると、7月末現在、工場を日本に戻す申請を行った第2弾の在中国日系企業は1670社に上っているようなのだ。
この日本企業の中国撤退は、日本政府が主導している。
3月5日に安倍前首相は、コロナウィルスで浮き彫りになった中国に対する依存を減らすために、日本企業に中国から撤退し日本に戻るか、もしくは東南アジアに生産施設を移転するよう求めたのだ。
そして、この脱中国に対しての補助金額は2200億円が組まれたが、7月までの申請額は、この予算お8倍に上る1兆7600億円に達している。
こう聞くと、さぞ中国からの撤退が進んでいるかと錯覚してしまうのだが、中国に進出している日系企業は、実に3万5000社も存在しており、申請のあった1700社は5%に満たない規模だ。
この現実を見ると、国と企業の姿勢は、まだジェスチャーに過ぎないことが分かる。
中国は最大の貿易相手国であり、特に自動車業界においては世界最大の市場であり、中国を抜きにして経営戦略は成り立たないといえるだろう。
安全保障と経済をどう両立させていくのかが、これからの最大の課題となる。
厄介なことに、この課題は、近い将来の話ではなく、喫緊の課題であることだ。
ここが最大のリスクであると判断すると、やはり、中国に依存している企業の株は、買えないということになる。
昨日候補銘柄にあげた総医研HDなども、中国企業との提携を成長戦略に挙げていることから、私自身としては、候補から外すことにした。
いずれにしても、菅政権がどのように対処していくか、注視していかねばならない。
親中派の二階氏の影響をどこまで受けるのか、習近平氏を国賓待遇で招くかどうかという課題もあるので、これをどう捌いていくのか、菅首相の腕の見せ所といえよう。