日本企業の生産性が、非常に低いと言われて久しい。
日本生産性本部から「労働生産性の国際比較」という調査研究が発表されており、2017年は、日本の就業者1人当たり労働生産性がOECD加盟36カ国中21位、首位のアイルランドの約半分となっている。

出所:日本生産性本部『労働生産性の国際比較2018』
労働生産性がこのまま低いと、日本のGDPは減少の一途を辿ることになる。
人口が増加すれば、労働生産性が低くても国力は上がるが、昨年の出生率は、1.36(昨年比0.06ポイント減)となり、残念ながら4年連続で前の年を下回った。
出生数は一昨年より5万3166人減って86万5234人と、統計を取り始めて(明治32年)以降、最も少なくなったようだ。
死亡数はどうかというと、138万1098人と、前の年より1万8628人増加し、戦後最多。
結果、死亡数から出生数を差し引いた減少幅は51万5864人となり、12年連続で過去最大を更新し、人口減少がさらに加速してしまった。
このままだと、50年後の2070年には、人口は8,000万人もしくはそれ以下まで減少してしまうであろう。
経済一等国から陥落し、生活は一変してしまうかもしれない。
生産性が低いワケ
生産性が低い理由の一つに、年功序列制度がある。
能力が足りないのに、年齢だけで出生した人が率いる組織はどうなるか。
いかに、スタッフが素晴らしい企画を提案しても、判断する人がピンボケしていると、ボツになってしまう。
さらに、意味のない資料づくりを強制させられたり、冴えない方向性に向かっての企画づくりを強要されたりと、結果的に無駄な仕事ばかりをすることになる。
こうなると、当然に業務の生産性が下がるわけだが、意味のない仕事をさせられるスタッフのモチベーションも下がることになり、更に生産性が下がるという負のループに陥る。
こうして、日本の企業、特にオールドカンパニーは、日々、消耗戦を行っているのだ。
コミュニケーション手段の稚拙さ
コミュニケーションの取り方も、旧態依然としたままだ。
最近になって、やっと、Eメールが許容されるようになったが、まだまだこれを失礼とする人も少なくない。
基本は、面着(直接対面して顔を見てコミュニケーション)。
重要案件であれば、この必要性は分からなくもないが、これを基本としては、スピードが格段に落ちてしまう。
アポを取るのに時間がかかった上、やっと会えたら些細な事でやり直しがあったりと、非効率極まりない。
次は、電話だ。
なにしろ、直接会話することを良しとしているので、メールを送って見てもらえばいいだけの事でも、「メールを送りました」という無駄な電話をかけることになる。
また、電話で相手が不在なら、メールを送ったことを伝えてもらえるよう伝言するという、これも無駄な作業をしている。
ただ、メールを送り、相手がそれを見るだけという単純なことなのに、これだけ業務を複雑にしているのだ。
いつまで、こんな前近代的なやり方を続けるのだろうか。
強制的にでも考え方を変えさせ、方法を変えないと、将来はないのに。
これからのコミュニケーション手段はチャット
まだ、コミュニケーション手段がこんなに稚拙なのに、一足飛びに「チャット」なのかと疑問に思うかもしれないが、変えるなら、一気に先端に行く必要がある。
今回研究する企業、Chatworkは、この課題を解決するメール・電話・会議に代わるビジネスコミュニケーションツール(ビジネスチャット)を展開している。
2004年に設立した該社は、昨年9月、ビジネスチャットを主軸にする企業の上場では国内初となる、マザーズに新規上場した。
国内ビジネスチャット市場は、高成長が見込れており、市場そのものは大きな伸び代がある。上述の生産性向上やコミュニケーションの効率-改善が注目を集まており、ポテンシャルは高いと思われる。
今後の注目株であることは、間違いないであろう。
チャットの利便性
◆ 効率性
Eメールには、致命的な非効率性がある。
それは、日本式の定型文だ。
「いつも、お世話になっております」「お疲れ様です」「よろしくお願いいたします」…。
お互いに止めないので、延々と続けることになり、非効率極まりない。
また、Eメールだと、やたらと長くなる傾向があり、結果的に何をいいたいのかよく分からないことも多い。
チャットだと、挨拶は不要になり、文も短くなり分かりやすくなる。
◆ スピード性
Eメールだと、いつ読んでいるのか、またいつ返事が返ってくるのか不明で、リアルタイムタイム性に欠ける。
コミュニケーションのレスポンス向上は、業務効率化という面で十分な効果を上げているようで、Chatworkを導入したサイバーエージェントでは、一人につき一日1.26時間の時間削減でき、これは月にすれば3営業日分程度の削減。
利用者が約1,000名で、 事業本部全体では月あたり約25,000時間以上効率化できたと言う。
相当インパクトのあるデータではないだろうか。
これは、スマートフォンにも対応しているのが大きいであろう。
外出時や移動中にもタスクを終わらせることが出来るからだ。
商談時も、検討案件について、スマホでチャットすれば解決手段をその場で提示することができるようになるので、持ち帰りが少なくなり、結果、訪問回数も削減できる。
個人の生活様式が、パスコンからスマホに完全に移行したように、仕事も、この「スマホシフト」をいかに推進できるかが、スピード化・効率化の鍵となるだろう。
◆ 伝え方が9割
コミュニケーションをいかに円滑にするか、これは世代間ギャップがある場合は特に重要になる。
Eメールだと、相手の感情が分かりづらい。
本人に悪気がなくても、受け手がネガティブに読み取ってしまうと、マイナス効果しかない。
年齢差がある場合は、フィーリングが違うことも多いので、このようなギャップは起こりやすい。
この解決法は、いたってシンプルだ。
絵文字を使えば良いのだ。
😊😉👏😂👍✌🎉😢👌😍😘🤦♂️😆
これだけで、感情はダイレクトに伝わるだろう。
まさに、伝え方が9割。
デファクトスタンダードとなるか
ビジネスチャットは、このコロナ禍での働き方改革で、追い風となるのは間違いないであろう。
あとは、類似サービスとどう差別化していくかが課題となる。
「Slack」を展開する、米スラック・テクノロジーズ。
ここは、先日、アマゾンとの提携を発表したばかりだ。
この提携により、ビデオ通話などの技術基盤の自社開発を取りやめ、AWSから供給を受けることで、社内リソースの有効活用を行うとともに、アマゾンの約84万人の全社員がスラックを使うようになる。
ビジネスチャットでは後発の、マイクロソフト「チームズ」も利用者を拡大させてきている。
日本の大企業は、Office365を導入している企業が多く、そのままチームズに移行いていくケースは十分考えられる。
国内では、LINEと連携できる「LINE WORKS」もサービス展開している。
これらのサービスに打ち勝ち、デファクトスタンダードになるために、今後、周辺機能を補う事業提携等も必要になるのかもしれない。
日本企業の生産性を上げるのは、喫緊の課題であり、ビジネスチャットはその課題解決に有効な手段だ。
デジタルトランスフォーメーションで、日本が優位性を築くためにも、応援していきたいと思う。
株価は、3月10日に645円と上場来安値をつけたが、その後切り返し、6月2日に上場来高値1,660円をつけ、その後もみ合っている。
PERは400倍とかなり高いが、それも成長期待の証ととらえられる。
今後、一気に、駆け上がっていけるか、注視していきたい。
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