本日は、昨日に続き、アパート経営の闇にせまる第3弾。
アパート経営は、家賃保証があるから安心という前提を考えてみたい。
イメージしやすく、家賃保証という表現を使っているが、実際には「サブリース」が正しいワードとなる。
家賃保証は、賃貸物件の入居者が利用する家賃保証会社の保証サービスだ。
入居者は、契約時に月額家賃の30~100%の保証料を支払って、家賃保証会社と契約を結びことにより、入居者側は連帯保証人が不要になり、オーナー側は、滞納リスクを回避できるようになる。
では、サブリースとは何かというと、オーナーからサブリース会社が物件を一括して借り上げて、入居者に転貸する仕組みのことで、これにより、オーナーの家賃収入が保証されるようになるものだ。
このように、サブリースによって、オーナーの家賃収入を確保することができる、すなわち、賃貸経営の最大のリスクである空室リスクを回避することができるようになるのだ。
サブリースのメリット
|空室リスク、滞納リスクの回避
上述のごとく、サブリースの最大のメリットは、空室リスクを回避できることにある。
サブリース会社がオーナーから賃貸物件を一括で借り上げて、その賃貸物件の入居者募集や入居者からの賃料回収などを行い、サブリース会社は、賃貸物件の入居の有無に関わらずオーナーに保証賃料を支払うことになる。
この際、オーナーは、賃料の10~20%の手数料を業者に支払うことになるので、その分、家賃収入は減少するが、安定的に家賃収入を見込むことができる。
|管理業務から解放される
アパート経営となると、入居者募集から契約業務、また入居者対応と、様々な管理業務が発生することになる。
これらは、知識と経験、また時間がないと対応が難しいのだが、サブリースを活用すると一括で代行してもらえる。
このように、アパート経営となると素人には難しさや煩わしさがあるのだが、サブリースを利用すれば、全部、丸投げできるようになる。
しかし、これでうまくいっていれば何も問題ないのだが、全部預けることになるので、手の内はすべて業者側にいってしまう。
こうなると、業者の言いなりになるリスクも存在するので、次はデメリットを見てみる。
サブリースのデメリット
|家賃収入の相対的減少
サブリースを利用すると、手数料として家賃の10~20%が引かれるということは上述したが、加えて、礼金や更新料も受け取ることはできない。
これらは、サブリース会社が受け取ることになる。
よって、自身で経営することに比べると、一定程度収入が減少することになるので、事前のシミュレーションはしっかりと行っておく必要がある。
|入居者を選定できない
入居者の選定は、サブリース会社が行うことになる。
ある程度は事前に前提条件を決めることもできるかもしれないが、あまり審査のハードルを上げてしまうと、業者の負担が重くなってしまうので、難しいだろう。
|倒産リスク
大手であればリスクは低いかもしれないが、サブリース会社が倒産してしまうと、オーナーは保証賃料を受け取ることができなくなる。
当然、空室リスクはオーナーが負うことになってしまうので、こうなると最悪のケースとなる場合が多い。
入居者とのトラブルも多く発生していることが予想されるので、注意が必要だ。
サブリースの最大の課題とは
以上、サブリースのメリットとデメリットを見てきたが、この最も大きな課題は、やはり賃料の見直しだろう。
〇〇年保証と謳われているように、その期間はずっと同額の家賃が保証されると誤解されがちだが、契約書には数年ごとに家賃保証の見直しがあることが明記されているのが一般的だ。
多いのは、「賃料改定は2年間経過ごととし、賃料改定日の6カ月前までにオーナーと管理会社で協議を行い、賃料の改定を行う」という条文だ。
これは、つまるところ2年ごとに賃料を見直すことができるというものだ。
管理会社が、現行の賃料水準では入居者が確保できないと判断した場合、契約した賃料の引き下げを求めることができるのだ。
そんなの詐欺だと憤慨されるかもしれないが、業者側に立ってみると、建物老朽化により賃貸物件の魅力が低下する可能性があったり、周辺に新築の賃貸物件や好ましくない施設が建設されることにより、需要が減少する可能性もあるので、永遠にリスクを背負うことは出来ないのだ。
しかし、悪質なケースだと、当初はわざと高い家賃を設定して収支計画を作成し、契約を迫る場合があるので注意が必要だ。
周辺相場から見て妥当な家賃設定かどうかを事前に調べておくことは、最低限行わなければならない。
このように、サブリースには、一長一短がある。
出来ればアパート経営は、自身の手で手掛けると、収支も改善でき、経験を積めるので良いと思うのだが、事情はそれぞれあるだろう。
しかし利用する場合にも、すべて丸投げではなく、最低限のことは行った方が良い。
契約前は、事前の家賃相場の把握や複数業者での見積もり比較。
賃貸開始後は、入居者情報の共有、周辺相場の動向や見通しの把握など。
そして何より、収支計画のシミュレーションは、自身で行う必要がある。
ここを業者任せにしたり疎かにすると、トラブルの元となるので気をつけよう。