投資先の動向は、常にチェックする必要がある。
時代の変化は激しく、企業のコアコンピタンスや運営方針は、むしろ変化していくことが正常なので、変化すること自体は歓迎すべきことだ。
しかし、当然にその中身には注意が必要だ。
どのように変化したのか、それが時代に合っているのか、持続的成長に繋がっているのか、そして何より、その戦略について自分自身が評価できるかどうか。
基本的には、主観的な判断で良いと思う。
自分のお金を投資するわけだから、自分が主役。
自分が評価できる、納得できるものならば投資する。
評価できない、共感できない、なんかしっくりこないという場合は、投資しなければよいのだ。
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループ(SBG)が、傘下の英半導体設計アームを、エヌビディアに売却することが決まったようだ。
売却額は400憶ドル(約4兆2000億円)、買収額が3兆円だから、これにより4年間で1兆円超の利益となるので、投資としては成功といえるだろう。
また、売却を経て、SBGがエヌビディアの大株主になるようなので、新たな枠組みも構築できるようだ。
この戦略を、投資家としてどう捉えるかは人それぞれだと思う。
SBGを、もともと投資会社だと認識していれば、評価もできるかもしれない。
しかし、もともとこのアーム買収は、スマートフォンの中核部分を握るARMを買収することで、モバイルコンピューティングビジネスにかかわる体制を強固する戦略であったはずだ。
この戦略は既に構築されたので売却する、ということであれば、目的は達成されたので次の段階へ、ということなのだろうが、アーム事業は伸び悩んでいたということなのでそうではないだろう。
そうなると、資金繰りの懸念から資産売却を急いでおり、その一環で、持て余していたアームを売却するという見方が正解であろう。
事業戦略としては失敗したが、投資収益としては成功したということだ。
SBGは、投資会社。
投資家としてのSBG、というか孫正義をどう評価するか。
好きな人は投資すれば良い。
私は、そもそも投資会社に投資しようとは思わないし、またアームを戦略的に発展させられなかったSBGを評価できないので、投資しない。
すかいらーくホールディングス
すかいらーくの株主優待制度の改悪も、大きな戦略転換だ。
この株主優待目当てで投資している人が圧倒的に多いので、すかいらーくは株主優待が生命線だったといえる。
【株主優待制度】
保有株式数 | 年間贈呈総額(現行制度) | 年間贈呈総額(変更後) |
100~299株 | 6,000円 | 4,000円 |
300~499株 | 20,000円 | 10,000円 |
500~999株 | 33,000円 | 16,000円 |
1000株以上 | 69,000円 | 34,000円 |
このように、優待額は、半値となってしまっており、インパクトは大きい。
この発表を受け、株価が△10%弱と暴落したのも頷ける。
優待制度を廃止してしたら、ストップ安が連発されたであろうが、半値といえど制度は継続されたことがどう評価されるかだ。
これについては、コロナ禍であり、やむを得ない判断だと、一定の理解は得られるのではないかと思う。
私自身も、すかいらーく株は、優待目的で以前から保有しており、大変お世話になっている。
特に、ステーキガストは、コストパフォーマンスもよく、頻繁に利用させてもらっている。
今回の優待制度改悪を受け、私はどうするかといえば、保有株数も少額であることから現時点ではホールドしようと考えている。
コロナがきっかけとなり、外食産業は変革の時代を迎えようとしている。
消費者がどのような利用形態を望むのかは、時代によって変化するので、供給者はそれに対応していかなければならない。
これからは、宅配とテイクアウトのニーズが高まるので、これにどう対応していくか。
宅配であれば、デリバリー体制をどう構築していくかが焦点となるので、ここにどう取り組んでいくのかを注目していきたい。
いずれにしても、好きな株なので保有するという面が強いとは思う。
この好きか嫌いか、という視点も大切なので、投資先の選定で迷った時は、この感覚で決めてはいかがだろうか。