コロナ禍による収入減で、住宅ローンの相談が増えているようだ。
コロナによる影響は、もうかれこれ半年くらい続いているので、多くの家計は日増しに厳しくなっていると思われる。
毎月の収入が途絶える、もしくは減少することも厳しいが、当てにしていたボーナスがなくなることもインパクトが大きい。
毎月の超過支出分をボーナスで補う、もしくは、住宅ローンの支払いをボーナス併用している場合は、たちまち破綻してしまう。
やはり、ある程度の貯蓄は必要だということになる。
ましてや、貯蓄なしで住宅ローン等の借金をすることは、即、致命傷となりかねない。
なかなか貯蓄出来ないという人も多いと思うが、強制的にでもやるしかない。
このブログでも何回か取り上げたが、本多静六式貯蓄法をお勧めする。
これは、毎月の決まった収入のうちの4分の1を天引きで貯蓄するというもので、この貯蓄法により、まずは生活費の1年分程度を貯蓄することを目指そう。
1年分の貯蓄があれば、今回のような非常事態にも対応できるし、なにより精神的な余裕ができる。
そして、大きな出費は、この貯蓄が出来てからにすることが肝要だ。
決して、周囲の誘惑に惑わされることのないように。
アパート経営の誘惑
このような住宅ローンの問題もあるが、アパートローンの問題も根深いものがある。
これは、主に相続税対策として活用されることが多いが、この不況下、支払いに支障が生じているケースが増加している。
貸家の着工数は、足元は減少に転じているが、直近まではかなり増加していた。
【新設貸家着工数】
年度 | 着工数(千戸) | 前年比 |
平成23年度 | 289 | △0.7 |
平成24年度 | 320 | +10.7 |
平成25年度 | 369 | +15.3 |
平成26年度 | 358 | △3.1 |
平成27年度 | 383 | +7.1 |
平成28年度 | 427 | +11.4 |
平成29年度 | 410 | △4.0 |
平成30年度 | 390 | △4.9 |
令和元年度 | 334 | △14.2 |
直近のピークは、平成28年度の427千戸。
5年間で、5割弱も増加しており、一大ブームを巻き起こしていることが分かる。
そこからは一転減少に転じ、今年度は、30万戸程度と予想されている。
これは、そもそも、賃貸需要がそれ程あるのか、ということが根本的な問題である。
全国の空き家数は、平成30年の調査で、過去最高の846万戸に達し、空き家率にすると13.55%にのぼる。
この空き家が年々増加している状況下、新築の貸家がどんどん増えるという怪現象。
さらに人口は減少しているので、需給バランスでみれば、供給過多であることは間違いない。
しかし、この貸家の新築は、商売として行うのではなく、相続税対策として行っていることが問題をややこしくしている。
貸家で儲からなくても、相続税対策として有効なら良いと。
確かに、現実にキャッシュフローが回っていれば、その考えも妥当であろう。
しかし、一旦歯車が狂いだすと、一転してしまう。
家賃収入が減少し、ローンの支払いの方が多くなってしまうと、月々の支払いは持ち出しとなり、毎月の生活に影響を及ぼしてしまう。
一方で、相続税の恩恵が得られるのは、自分が死んだ時だ。
それまでは、当然自身の生活があり、その生活が破綻してしまっては元も子もなくなる。
この問題は深刻度が高く、今後の対策にも繋げる必要があるので、明日からのブログで深堀していきたい。